
地下に埋設される中水槽は、見えないがゆえに防水性能が軽視されがちです。
中水の特性と、実際に起こりやすいトラブルから、中水槽に本当に求められる防水性能について整理します。

※建物内では、このような設備を通じて水が供給・管理されています。中水もこうした設備の中で循環・再利用されています。
建築における給排水計画では、一般的に上水(給水) と 下水(排水) の2系統で語られることが多くあります。
しかし実際の建物運用では、その中間に位置する水の存在が重要になってきます。
それが 中水(ちゅうすい) です。
中水とは、
一度使用された水、または用途を限定して再利用する水を指し、飲用には適さないものの、生活や建物運営の中で十分に役割を果たせる水です。
具体的には、
• トイレ洗浄水
• 清掃用水
• 散水用水
• 冷却・補給水
などが該当します。
つまり中水槽は、「飲めない水」ではなく、「飲む必要のない水」を安全に使うための設備と言い換えることができます。
中水利用が日本で本格的に検討され始めたのは、高度経済成長期以降、水需要が急激に増加した時代です。
特に
• 大都市圏
• 大規模オフィスビル
• 病院・公共施設
では、水道使用量の削減が社会的な課題となりました。
1970年代以降、
• 渇水対策
• 都市インフラの負荷軽減
• 環境配慮型建築
といった背景から、建物内で水を循環利用する「中水道システム」が導入され始めます。
当初はコストや管理の難しさから限定的でしたが、近年では次の理由により再評価されています。
• SDGs・環境配慮への社会的要請
• 大規模災害時の生活用水確保
• 建物の環境性能評価(CASBEE等)
こうして中水槽は、単なる設備の一部ではなく、建物の価値や持続性を支えるインフラとして位置づけられるようになっています。

※コンクリート水槽の一例(用途により上水・中水などに用いられる)
中水槽の防水計画において、現場や設計段階でしばしば聞かれる考え方があります。
「地下に埋設されている水槽だから、漏れても外に影響は少ない」 「上水ではないので、そこまで厳密な品質管理は不要」 この発想自体は、決して珍しいものではありません。
実際、多くの中水槽では、最低限の防水仕様が採用されがちです。しかし、この考え方が後々のトラブルにつながるケースも少なくありません。
確かに中水槽は、
• 地下に埋設されている
• 屋内・外部から直接見えない
という条件が多く、雨水や外部環境からの影響は限定的に見えます。
しかし、防水の目的は外から水を防ぐことだけではありません。
中水槽の場合、内部の水が構造体に与える影響こそが問題になります。また、給水設備である以上、貯水の漏水があってはなりません。
防水層が不十分な場合、中水はコンクリート内部へ徐々に浸透します。
この状態が続くと、
• 鉄筋腐食の進行
• ひび割れの拡大
• 構造体の耐久性低下
といった、目に見えない劣化が進行します。
地下構造物の場合、異変に気付いたときには補修が困難な状態になっていることもあります。

※コンクリート内部に水が浸透すると、このようにシミや劣化が進行していきます。
中水は飲用ではないとはいえ、設備としては安定した水質が求められます。
また、一定規模以上の建物では、いわゆるビル管理法に基づき、水質の維持管理や定期的な検査が求められるケースもあり、水質の変動は管理上の問題として扱われます。
防水が不十分な水槽では、コンクリートからアルカリ成分が溶出し、
• 水質の変化
• 配管・設備のスケール付着
• ポンプやバルブの不具合
といった二次的なトラブルを引き起こすことがあります。
「上水ではないから問題ない」という判断が、設備トラブルの原因になるケースです。
防水層が適切でない場合、水槽内面は
• 汚れが付着しやすい
• 清掃しても再発しやすい
といった状態になります。
結果として、
• 清掃頻度の増加
• 管理コストの上昇
• 使用停止期間の発生
など、運用面での負担が積み重なります。
地下水槽で最も厄介なのは、トラブルが顕在化しにくいことです。
• 漏水しても外部に現れにくい
• 点検が後回しになりやすい
• 異常が発覚した時には補修が大掛かり
このため、初期段階での防水仕様の差が、10年後、20年後に大きな差となって表れます。
中水槽における防水は、過剰でも不足でもなく、その用途に見合った防水性能を確保する
ことが重要です。
• 地下にあるから
• 上水ではないから
という理由だけで防水を簡略化すると、結果的に維持管理・補修コストの増大という形で跳ね返ってきます。
中水槽の防水に求められるのは、
• コンクリート構造体を守る
• 水質への影響を抑える
• 長期使用を前提とした耐久性
この3点を同時に満たすことです。
こうした視点で工法を選定すると、単なる「止水」ではなく、設備としての水槽を守る防水が必要であることが見えてきます。
そこで、中水槽の防水工法として、ビッグサン水槽類・地下用防水工法である「ビッグサンGR工法」をお薦めしたいところなのですが、ここでひとつ問題が浮上しました。
それは、ビッグサンはポリマーセメント系塗膜防水であるため、防水層塗膜からもアルカリ成分が溶出してしまうという事です。
この問題を解決すべく、大日化成は新たな工法を開発しました。
こうした中水槽の防水として要求される性能と、防水塗膜からのアルカリ溶出にも対応する工法として、「ビッグサンGR-Q工法」を2023年に開発・上市しています。
GR-Q工法は、ポリマーセメント系塗膜防水を基本とした多層構成の防水工法です。
防水層の基本構成
主防水層の平均膜厚は約1.1mm。
防水性と施工性のバランスに優れた仕様です。
@ アルカリ溶出を抑制
トップAQによる仕上げにより、防水層からのアルカリ成分の溶出を抑え、水質への影響を低減します。
A 下地追従性に優れる
ポリマーセメント系のため、コンクリート下地の微細な動きにも追従し、ひび割れリスクを低減。
B 複雑な形状にも対応
塗膜防水のため、配管廻り・入隅・出隅など、水槽特有の複雑な部位にも確実に施工可能。
C 中水槽・雑用水槽への適合実績
日本建築学会
に適合した仕様で、設計・施工の採用実績があります。
中水槽は、「見えない場所」でありながら、 建物の環境性能・維持管理・安全性を支える重要な設備です。
だからこそ、防水には
が求められます。
GR-Q工法は、こうした中水槽特有の条件を踏まえた防水工法として、設計段階から安心して選定できる仕様のひとつです。
中水利用がますます重要となるこれからの建築において、GR-Q工法は、水槽防水の確かな選択肢となるでしょう。
GR-Q工法についてはこちら
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
https://www.dainichikasei.co.jp/product/bigsun2/bigsun2_kouhou.html#GR